すごくすごく小さな子供だったころ、
眠りに落ちる瞬間というやつを確かめたくて、
眠いのをぎりぎり我慢したらいいんじゃないかと
何度か頑張ってみたことがある。
でも、何度やっても気がつくと朝で。
どう頑張っても気がつくと朝で。
しまいにはエースに言って、
寝こけそうになったら声かけてって頼んだんだけど
そいで、ちゃんと声かけたぞって言われたんだけど、
そいでも全然記憶にないまま
気がつくとやっぱ朝で。

　『そりゃあお前、
　　起きる瞬間の境目を、すぐ忘れるのと同じだ。』

　『？？？』

いっか？　朝になって目ぇ覚ますだろ？
確かに寝てたとっから
もぞもぞとか もそもそとか じわじわとか
少しずつだか、
そいか ぱちぃっとか ばちぃっとか
一気にだか、目ぇ覚ましてる訳だけど。
まだ眠いなぁって思ってたとっからの境目だって、
頭が冴えてくっと覚えてられんだろうが。

　『………あ、あ〜〜〜っっっ！！！』

何とも珍妙な言い回しの、
あんな説明で何かが判ったというか通じるお前も凄いよなと、
傍にいて話を聞いてたエースから妙な感心されちったけどサ。
そっちはそんなほど問題じゃあなくて。
ほんの直前のことさえ覚えてられんのだから、
何時間も前のことなんて
思い出せんくなってって当たり前だと、
そりゃああっさりゾロから言われた時は、
まさに“目からウロコ”状態だったんだよな。

　「　　…………。」

ホント、今でも
寝付く瞬間とてのは覚えてられんくて。
でも、朝の方はちょっと微妙なんだな。
小さいころもサ、
誰かに声掛けられないと起きられない寝ぼすけだったけど。
そいでも、起きたら起きたですぐにも動き出してたせいか、
ぼや〜んってしてる間が短かったほうだったから、
境目、あ、しまった、また覚えてられんかったって、
そんな繰り返しが ４、５日続いて、
すぐにも飽きてやめたんだけどもな。
今は、微妙に
ああこれかなって瞬間が、
判るような起き方してるんだな、これが。

　“あ〜〜〜、また寝ちゃってたか。”

気がついたら寝てたってところは一緒なんだけど、
そこは…………まあ良い。
つか、武士の情けだ、深くは訊くな。/////////

　「……？」

で、布団にしちゃあ堅重いなぁって見回したら、
腹のうえには、布団じゃなくて
ゾロの腕が乗っかってるだけって朝だったりもして。
……いや、まだまだ暑いからだけどな？////////
Ｔシャツがめくれてないから、
押さえててくれたんかなとか思いながら、
よいしょって起き上がって。
しばらくほど、ほやや〜んってなってる間はまだ、
寝てたとこから出て来たの、何となく覚えてて。
出て来たドアを、あ…って振り返ったら
パタンッて閉まるとこだったって感じかな？

　「……。」

膝を曲げて足を引き寄せて、さあ起きよっかって仕掛かって。
でもな、あのな？

　「………。」

くか〜って、ちょっと口あいて、
そりゃあ油断しまくりで寝てるの見たらサ。
ああ、誰がって？　だから、ゾロがだよ。
あんな？ いつもは そりゃあキリッてしてて、
それか余裕綽々って顔してるのがサ。
Ｔシャツくしゃくしゃにして、
口あいて油断しまくりで寝てんだもんなvv
今 誰かに“隙ありっ”てチョップとかされても
避けらんないぞ、きっとvv（笑

そんくらいに、隙だらけなんだのに。
そうなのに、
なんか、
何でか目が離せんてのか。

　「……。」

可笑しいなぁって見てたのが、

　「……。///////」

可愛いなぁになるから、変だろ？何か。
腕とか足とか丸太みたいにゴツゴツなのに。
胸板もゴツゴツで
精悍っていうの？ 思いっきし男臭い顔してんのに。
どっこも可愛いトコなんてないんだのに。
可愛い服とか見つけるの、断然うまい俺が、
何でこんな武骨なの見て可愛いって思うのか思うと、
凄っげぇ不思議なんだよな。///////

　“……あ、そろそろご飯。”

ご飯は炊飯器のタイマーが入ったか、
いい匂いすっから ちゃんと炊けてるみたいだけど。
卵で目玉焼きやいて、昨日買っといたシシャモ炙って、
みそ汁は…なんにしよっかな。
そろそろ作んなきゃ間に合わんぞ、
そろそろ顔洗って来ないと、
そろそろ起きないと……って思うんだけど。

　「………。//////////」

う〜ん。
ここまで隙だらけのゾロって、見飽きないんだよなぁ。
何日振りなのかなぁ。
昨日は先に起きててジョギング行ってたもんな。
一昨日は 人んこと撫で回して起こしたバカヤロだったんだっけ？
えっとぉ〜〜〜〜。///////
そういう不届き者は写メで乱写の刑だっ。しゃきんしゃり〜んだっ。

………起きないかぁ。
しゃあないな、うん。
えっと、


　　　キスしたら起きちゃうよなやっぱ。////////


まだちょっと早いしな。
も少し寝かしといてやろっかな。
でもな、う〜んとな。
俺も立派な成年男子だから、
すすすす好きな奴の寝顔とか見てると、
もりもり、じゃねぇ、もちもちでもねぇ、えっと。//////
あ・そうそう、
むらむらっとかしてくるんだもんしょうがねぇよな。//////
こんな男前を置いてくのは忍びないけど、
でも おこしたら かわいそおだから えっと、

　 人差し指の先、口許へちょんちょんって当ててから
　 それを寝顔の口許へ、同じようにちょんちょんって。

ほら、これなら起きない。///////
今朝は手付けだけで我慢してやるぜ、
命拾いしやがったな、へっへーvvと。
ひとしきりの沢山遊んでから、
やっとのこと、
ベッドから降りようとしかかった小さな奥様だったのに。

　「くぉうら。そんな子供だましで許されると思うてか。」

そ〜れは的確に速やかに、大きな手が伸びて来ていて、
離れ掛かったしなやかな腕をとっとと捕まえているお見事さよ。

　「わっ、何だなんだっ。」

勿論のこと、予想していなかったしあまりに唐突だったしで、
あわわと驚くばかりのルフィさんであり。

　寝た振りとは卑怯なりっだぞっ。//////
　寝てる身にやりたい放題は卑怯じゃねぇのかよ。
　一昨日のゾロじゃあんめぇし、何もしてねぇじゃんかっ。//////
　だから子供だましだと言うとるんだ…と。

一体 何をまた大威張りしているものなやら。
そっちのほうが
よほど大人げないと思うのですが、ゾロさんよ…。





　　今朝はここまでにしとうございます……♪





　　〜おそまつっ〜　　13.10.10.

　　＊わたしの唇に人差し指で、
　　　口づけして あきらめた人〜♪
　　　…というお歌が懐メロにありましたが、
　　　そんなもんで許しちゃくれません、現代の剣豪。
　　　煩悩は捨てないといかんのじゃないのか？ お〜い。（笑）

***めるふぉvv

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